自分の人生にセーブポイントがあって、もしその先が上手くいかなくてもまたその場所まで戻ってきて人生をやり直せたら...って、きっと誰もが1度は思ったことあるよね。1人の女性が予想外の妊娠をしていた人生と、していなかった人生、その2つを並行して描いているこの映画は、私たちに決定的なある事実を教えてくれている。
結局、何が「良い人生」かを決めるのは自分だ
いきなり結論、しかもこれを言ったら元も子ない...!というところに辿り着いてしまうけれど、やっぱり結局そうなんだよね。私は常々、「正しい選択肢を選ぶんじゃなくて、選んだ選択肢を自分にとって正しくしていく」ことをモットーにしている。だから余計にそう思うのだろうけど、物語の主人公・ナタリー(リリ・ラインハート)がこの映画を通して生きた2つの人生は、起きた物事こそ違えど、どちらも「良い人生」だった。
何が起きたかは大した問題じゃない
妊娠したか/しなかったかが大した問題じゃないと言い切ってしまうと語弊があるかもしれない。けれど、この映画が最終的に伝えたかったのってそういうことなんじゃないのかな。女性の人生って、どうしても妊娠・出産に振り回されるものだと多くの人が考えがちだし、実際当事者は少なからずそう思っているはず。
でも大切なのは、妊娠・出産するか/しないか、じゃないんだよ。仕事を続けるか/続けないか、でもないんだよ。自分がそうと決めた道で、どれだけベストを尽くして生きていくか、ただそれだけだと思う。
私には妊娠していない人生のほうが良く見えた
ここからはとても個人的な感想だけど、正直私には、どちらかといえば妊娠せずに卒業後LAへ行って過ごす人生のほうが良く見えた。これは単純に私の好みだと思う。
というのも私はそもそも今の人生で自分の子どもを持つことに興味がない。子どもは可愛くて大好きだけど、自分が産み育てるのは遠慮したいなという気持ち。それに加えて、映画の中でも子どもが生まれるほうの人生はよりナタリーの苦悩がクローズアップされていたように思う。それだけ子育ては大変で生半可な覚悟ではできないということなんだろうけど、ナタリーの母親が言っていた「1度母になったら、母じゃない自分には戻れない」みたいなセリフもとても印象に残った。
「産まなきゃよかった」は母親最大のタブー
子どもは可愛い。子育てが地獄のように大変でも、その可愛さがすべてを忘れさせてくれる。みんな口をそろえてそう言うけれど、それは当然だよねと思ったりする。だって、母親として「正直産まなきゃよかったですよ」と公言することなんてできない。そんなことを言ったら子どもが傷付くし、周りからも倫理観の欠如した人間とみなされる。だから外では「産んでよかった」というストーリーを作るしかない。
産んだことを肯定するのと同じ気持ちで、どんなことも肯定すればいい
色々ある選択肢の中でも「産んでよかった」はかなり肯定しやすい選択肢の1つだと思う。でも本来は、「LAに行ってよかった」「仕事をやめてよかった」「コンテストに応募してよかった」etc... 自分の取った選択肢のすべてを、人は肯定できるように生きていけるものなのだ。
もちろん、空威張りではなく心から肯定するためには、本当に「よかった」と思えるように自分が行動できている必要がある。この映画の中のナタリーは、どちらの人生でも周りからの助けや幸運にかなり背中を押されていたと思うけど、自分できちんと行動して自分を肯定できる生き方をしていたのがとても良かった。
ナタリー役のリリがとにかく可愛い
あとはとにかく、いつどのシーンでもびっくりするくらいナタリーが可愛い! 2つの人生をスムーズに見分けるために、同時進行するシーンでは髪型やファッションなどで違いがつけられていたんだけど、どのナタリーも可愛くて、それだけでどんどん続きが見たくなっちゃった。笑
私は普段洋画を観ないので今回初めて知ったんだけど、ナタリー役のリリ・ラインハートは「ボディポジティブ」な発言で有名な女優さんらしい。
ボディポジティブとは、自分のありのままの身体を受け入れることを目指すムーブメントのことだ。(中略)たとえば「痩せたスタイルほど美しい」などの非現実的な美しさ基準から自由になり「プラスサイズ」などのあらゆる体型を肯定するスタンスである。
フランスの「痩せすぎモデル」問題もこれなんだね。気になった女優さんからこういう社会問題を深堀りできるのもまた楽しい。